内視鏡下血管採取術

狭心症や心筋梗塞の治療法のひとつとして確立されている冠動脈バイパス術。近年ではその冠動脈バイパス術を支える先進的な手法として「内視鏡下血管採取術」に注目が集まっています。

従来の切開手術との違いとは?

内視鏡を使った手術と言うと、胃や大腸に形成されたポリープを切除する手術というイメージが強いでしょうが、実は心臓血管領域にも導入されています。心臓血管領域における内視鏡手術、それが「内視鏡下血管採取術」と呼ばれる手法です。

従来の手術の場合、胸のちょうど真ん中を大きく切開して行うわけですから、当然感染症のリスクが伴います。傷口に細菌が侵入して化膿が進行しますが、最悪の場合、心臓周囲にも影響が及び、重篤な合併症にもつながります。

もちろん、この内視鏡下血管採取術でも皮膚を切開する以上、多少の感染症のリスクを伴うこと必至ですが、従来の切開手術と比べ皮膚切開の範囲が狭く、その分傷口の化膿に伴う合併症のリスクが低くなります。

さらに、手術に要する時間を大幅に短縮可能であるうえ、術後の痛みが少なく、トータルの入院期間も短くて済みます。もちろん、従来の切開手術と比べ、病院への再入院率や外来診察率が著しく低く、退院後に頻繁に病院へ足を運ぶ必要があります。

以上が通常の切開手術と大きく異なる点となります。