冠動脈バイパス術

冠動脈の狭窄や閉塞によって引き起こされる狭心症や心筋梗塞の主要な治療法に「冠動脈バイパス術」と呼ばれるものがあります。ここでは、1960年代以降、日本の医療機関において導入されており、国内では年間約2万件実施されている冠動脈バイパス術について詳しく解説しています。

冠動脈バイパス術とは?

冠動脈バイパス術とは、閉塞した動脈の代わりとなる血管を新たに形成する手術を指します。手術の際には、胸のちょうど真ん中部分を縦に切開しますが、場合によっては肋骨の部分を切開することがあります。大がかりな手術ではあるものの、日本の医療現場に登場してから半世紀以上が経過しており、比較的リスクの少ない安全な方法として浸透しています。

冠動脈バイパス術の種類

冠動脈バイパス術には、人工心肺を使用し、心臓を止めて血管を吻合する「心停止下冠動脈バイパス術」と、人工心肺を使用せず、心臓を動かしたままの状態で吻合する「心拍動下冠動脈バイパス術」の2タイプがあります。前者の場合、心臓を止めて行う以上、より質の高い吻合が期待できます。

その一方、後者においても人工心肺の使用に伴う合併症のリスクを回避できるというメリットがあります。それぞれにメリット、デメリットがあるのは確かですが、心拍動下冠動脈バイパス術は脳血管や呼吸器系、腎機能において疾患を有する患者に適しています。